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※小説を読む前に※
2020年2月現在、ルドノエについてサイト内やTwitterでまだ公開してない設定が多々あるので補足を。
・魔界の暗殺一家リッパー家はお母さんを筆頭に全員ワイン党
・「カントナ」はノエルの故郷。色々あってノエルにとってはもう帰る場所ではない
・「イグンレート」は幻界でのルドの個人宅がある街。番外編2ではノエルが居候することになる
・ルドもノエルもbeyond本編の登場キャラ。本編ではノエルが味方サイド、ルドが敵サイドで主にルドが結構一方的にノエルを虐めてたので番外編でうっかり惚れてしまった後のルドは色々とノエルに弱い
・ルドノエは番外編2の途中から同居する→そのままイチャイチャする仲になる
(ざっくりとした流れは「番外編2」の絵やら漫画をご覧ください。時系列も置いてます)
今回の小説はイチャイチャ期を元に書いていただいてます!!!さいこうか!!!それではどうぞ!!!
GIFT
「ルド、これ持って行きな」
魔界に呼び出された用事も済ませて、さて帰るか、とドアに向かおうとしたルデリエを呼ぶ声に足を止めた。
いつもと変わらない無愛想な母親の手の中にあるボトルは見覚えがあるが見慣れていない。
「……」
頭に乗せようとしていたシルクハットを緩慢に下ろしてから手の中のものを静かに見つめた。
「ワイン?」
見慣れたラベルはワインが好きな母親が特に気に入った銘柄だとすぐにわかる。昔から母親の影響でこの家の食卓にはワインが途切れることはなかった。
だが母親が抱えるボトルを満たす色は見慣れない。ボトルをより濃くする赤ではなく、ボトルの色をそのまま活かす――。
「珍しいね、白なんて」
母が愛する赤ワインは幼い頃からずっと目にしてきた。初めて体から溢れ流れていく血を見たときの既視感に大きく笑ったのも懐かしい。
ずっとこの色は自分に近しかった。
「まぁ……貰うけど」
この銘柄のワインはルデリエも気に入っている。それでも白は記憶の限りでは飲んだことがない。本来なら料理に合わせて変えるワインのマナーもリッパー家には存在しない。
『好きなものを飲むのが一番さ。』
この家の絶対権力者に等しい母が作ったルールは今も強く残っている。
(なぜ白をわざわざ。)
疑問は残るが母がくれるというのなら貰う。それ以外の選択肢はルデリエの中に存在しない。
「貰い物?」
処分先に選ばれたのだろうかと思いついたままに口にした理由は、そんなわけないだろう、と眉をひそめた母に叩き落とされた。
「ここのワインはそんな安物じゃないよ」
「じゃあ」
なんで、と受け取ったワインのラベルを見ていた目がわずかに引きつった。
(この数字は。)
ラベルに印字された数字。そこからすぐにこの答えに思い至るのも我ながらとは思うが今はそんなのも関係ない。
「白ならあの子も飲みやすいだろう?」
「…………そうだね」
ノエルの生まれ年。
「じゃあ、またそのうち顔出しな。今度は一緒に連れてくるといい」
この家に溢れんばかりに存在する赤ワインにそこまで酒に強くないノエルが酷い目にあったのはまだ記憶に新しい。
頭にとっては微かな酔いでも足にくる。そんなワインの特性もルデリエは幼い頃から目の前の母親含め家族に叩き込まれてきたがノエルは当然ながら違う。
彼はワインを嗜むような生活を送ってこなかった。
『ノエル!?』
『あ、れ……?』
実家にノエルがいる気恥ずかしさがあったとはいえ、アルコールを多く受け入れられない彼のフォローできなかった自分を責めた。なによりも家族からも責められた。
飲ませたのはあんたらだろうと心では何度も思ったが口には出さずにひとまずノエルに水を飲ませ続けた。
酔って赤くなった頬に、アルコールで少し潤んだ目。
浅い呼吸を繰り返すわずかに開いた口。
違うものまで呼び起こしそうだった記憶は聞こえてきた声に吹き飛んだ。
「そのワイン、気に入るようだったらまた用意しといてやるから。連絡なしにいきなり帰ってきたら殺すよ。……ああ、お前をね」
怒らせたくない。それだけは勘弁してくれ、と素直に頷いてから少し逃げるように外に出た。
暖められた室内と違う少し冷えた空気も熱を持った体には心地いい。
はぁ、と吐いた息もまだ白さには遠いが仰いだ空に薄く乗る雲は間もなくやってくる冷え込む季節を予想させる。
あぁ、もうそんな季節か。
だが心に生じる感情は昔と異なる。そもそも以前はこんな風に季節を想っていなかった気がする。
『魔界って……リッパーの故郷ってカントナに少し似てるかも。』
まだリッパーと呼ばれていた頃。
ノエルを苦しめてきたトラウマと結びつきのある土地と似ていると言われて揺れた心は続いた言葉に止まった。
『でも、この時期にこの花が咲くんだね。僕のところはもう葉が落ちてる頃だから。』
『……。』
『きれいだね。魔界ってもっと怖いところかと思ってた。こんな風に植物があると思ってなかったや。』
幾度なく、なぶり殺さんばかりにトラウマを抉っては苦しむノエルで遊び続けてきたことも棚にあげて、ここはトラウマの地と違うと伝える彼の言葉に心は間違いなく安堵していた。大丈夫だろうかと揺れた心も引き結んでいた唇をほどくと共に消えた。彼の柔らかな表情は許されない罪も許された気にしてくれる。
『はいはい、それ魔界に対する偏見だから。』
ノエルの故郷は間もなく酷く底冷えする雪深い季節を迎える。過ごしやすい季節もあるが短く、貴重な生花は贈り物として重宝されていると知識として知っている。
そんな場所で育ったノエルの口から穏やかな声とともに出た言葉は自分に向けられたことのようにどこかむず痒かった。軽口とからかいの声に隠した感情にノエルは素直に騙されてくれたのも全部、この頭は鮮明に覚えている。
(きれい、か。)
幼い頃から何も思ってこなかった当然の世界。なにも思うことなく目に入るだけだった世界はノエルの言葉で一気に彩りを得た。
この風景の美しさは彼が教えてくれた。
幻界の中でもここと似通っているからと住む場所に選んだイグンレート。
この会話をして暫く経ってからノエルと同居する話になった時、ここよりもっと色彩が豊かな土地をノエルは喜ぶだろうかと兄の提案に抱える頭の片隅で考えてしまっていた。
そもそもイグンレートの地に色彩を感じるようになったのも間違いなくノエルの言葉があったからで。
空や植物に仕事への影響以外の感情や思考を持つようになったのだって間違いなく――。
「……」
帰りに向かっていた足の向きを少しだけ変えた。
(ノエルは何の花が好きだったっけ。)
白ワインだけに喜ばれるのが癪だから。
そんな言い訳を心の中で何度か繰り返してから店先に立った。
生花が珍しい土地で生まれ育った彼へ。
ここの美しさと彩を教えてくれた彼へ。
「すいません。この花と、」
生花のように弱々しくて、でも穏やかで美しい彼へ。
杏里さん(@anri_NvN)から番外編2ベースのルドノエ小説を頂きました_:(´ཀ`」 ∠):_
すごくないですか……………(第一声)
いやあの、自創作のキャラや設定を元にして小説書いてくださったんですよ……………
すごくないですか!?!?!?自分の脳内でしか動いてなかった自創作が、自分で動かすしか術がなかった自創作キャラたちが自分以外の人の手で動いてるんですこの感動伝わりますか……!!!!!!
私が一番最初にこの文章を受け取った時の動悸息切れ涙目具合わかります!?!??!?
ア゛ッッア~~~~もうめちゃくちゃ自慢したい~~~~!!!!!!!!ゴロンゴロンゴロン!!
すいませんちょっと落ち着きますね_(:3 」∠)_
杏里さん、心が滾る作品をありがとうございます!!
小説の感想はご本人さまにさんざん語ったので(ここでまた繰り広げるとそれはもう長くなるので)
この場では割愛します!!ルドノエはいいぞ………ウッ………_:(´ཀ`」 ∠):_
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